■数字を越える功労者
私が計算したところでは、過去29年間のJリーグでプレーした選手は7219人、監督は377人、試合にかかわった審判員は604人。Jリーグのスタッフ、それぞれのクラブのスタッフはデータすらないが、おそらく選手の数倍、数万人に達しているだろう。そのすべての人びとが、日々、よりよいクラブをつくり、よりよいJリーグをつくり、より多くのファン・サポーターに試合を楽しんでもらい、日本をより楽しい国にしようと努力してきた。その先に、現在のJリーグがある。すべての人に心から拍手を送りたいと思う。
だが、Jリーグを成功させた最大の功労者は、歴代チェアマンでも選手たちでも監督でもない。それはJリーグとともに誕生した「サポーター」である。
JSL時代にはサポーターは存在しなかった。「応援団」はあったし、人気いちばんだった読売サッカークラブには「サンバ隊」という自主的に集まった集団がいた。しかしそれは自らの声の限りに叫び、歌って選手を勇気づけるサポーターとは根本的に違っていた。日本代表をサポーターらしい雰囲気が後押ししたこともあったが、長くは続かなかった。