■歴史に刻み込まれた悲劇
フリューゲルスのサポーターが反発したのは当然だった。しかし同時に、マリノスのサポーターも、不倶戴天のライバルであるフリューゲルスのサポーターに強い共感をもち、フリューゲスルのサポーターの立場に立って強い反対を表明した。やがてフリューゲルス・サポーターに対する共感はJリーグの全クラブにサポーターに広がり、社会問題にまでなった。結局合併は強行されたが、Jリーグのクラブを運営する企業はこの事件から大きなものを学んだ。
「Jリーグのクラブはつぶしてはならない。つぶすことはできない―」
「企業の論理」だけで合併を決められた「フリューゲルス事件」は大きな悲劇だったが、その後のJリーグの発展を考えると、とても意味のある出来事だった。あのときJリーグのすべてのクラブのサポーターたちが力を合わせて戦ったことが、Jリーグを「百年構想」と「100クラブの夢」の実現に向けて前進させる大きな力になったのである。