後藤健生の「蹴球放浪記」第92回「売りつけられた偽ファーストクラス」の巻(2)ワールドカップアジア予選「ぼったくり」チケットに感謝したテヘランへの旅の画像
シリア対イラン バックスタンドにはアサド大統領(父)の肖像が 提供/後藤健生

 アジアは広い。日本からはるか離れた中東も、さらにその先も、アジアである。どれほど遠かろうとも、蹴球放浪家・後藤健生は足を延ばす。日本がワールドカップ初出場を懸けて臨んだ1997年のフランス・ワールドカップ予選。日本代表の試合でなくとも、いや、たったひとりの遠征だからこそ、学べることがあった。

■イラン人記者たちによる歓迎

 ようやくテヘラン行きの航空券を手に入れて、僕はダマスカスの空港に向かいました。

 ところが、20時45分発のはずのRB373便は出発時間が過ぎてもいっこうに搭乗が始まりません。ダマスカス空港の待合室で時間を過ごすはめになりました。

 でも、そのおかげで同乗のイラン人サッカー記者たちと知り合いになることができました。

「ほおっ、テヘランに来てくれるのか」と歓迎ムードです。そして、日本代表のことなども逆取材されました。そして、テヘラン到着後は彼らの家に招待され、大変な歓待を受けることになります。そして、彼らの一人がカスピ海沿岸の出身で「ぜひ、カスピ海側を見ておけ」と言われたので、僕はカスピ海まで行くことにしたのです(「放浪記」第2回「カスピ海を見に行った」の巻参照)。

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