■2020年にも試した「あの窮余の策」
このまま補強がないとすれば、既存戦力の活用となる。水沼宏太は契約を更新したし、MVPを獲得した2019年の輝きを仲川輝人が取り戻せば、補強以上の意味がある。
あるいは、既存戦力を違う手法で活用するか、だ。前任のアンジェ・ポステコグルー監督が、ケガ人が出るなどやむを得ない状況に背中を押されたとはいえ、2020年に何度か試した3バックの導入だ。
人材はそろっている。チアゴ・マルチンスと畠中槙之輔に加え、岩田智輝も十分に計算が立つ。加入した2021年には複数のポジションで起用された岩田だが、3バックの一角からの攻撃参加は、大分トリニータでも見せた得意のプレーである。
レオ・セアラを1トップに据え、新戦力の西村を2シャドーのひとりとするのもありだろう。2021年にメインだった4-3-3のウィングや1トップに据えるよりも、西村にとっては収まりがよさそうなポジションだ。
2021年は、独走する川崎フロンターレににじり寄った時期もあったが、最終的には勝点13もの差をつけられた。この深い溝を埋めるには、新しい何かを打ち出す必要がある。