■問題となる五輪との競合

 2026年大会からは、ワールドカップは48か国参加の大会に拡大される。そんな大規模な大会を開催できる国は、それほどたくさんはないはずだ。一部のサッカー大国と、専制主義的な振興の経済大国でしか、大会は開けなくなってしまう。そんな大会を「2年に一度」の頻度で開くことには技術的な問題もあるだろう。

 そして、すでに指摘されているように夏季オリンピックという世界のスポーツ界のビッグイベントとの競合という問題をどう考えるのか。

 オリンピックという大会自体、国際オリンピック委員会(IOC)も多くの問題点を抱えている。そのことは、2021年に開催された東京大会の際に完全に露呈されてしまったわけだが、サッカーやバスケットボール、ベースボール、テニスなどプロの大会が確立されているメジャースポーツとは違って、4年に一度だけ脚光を浴びるマイナースポーツにとっては、オリンピックの価値が落ちれば死活問題となる。

 それなら、オリンピックと競合しないようにワールドカップを奇数年開催にすればいいのかもしれないが、そうなれば「世界陸上」を主催する世界陸連とか、「ワールドカップ」を主催するワールドラグビーなどが反対を表明するだろう。

 とにかく、ワールドカップの「2年に一度」開催は世界のスポーツ界を揺るがすような大きな問題なのだから、そうした論点一つひとつについて慎重に考えていくべき問題なのだ。

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