2022年はワールドカップイヤーである。夢のような時間がまたやって来るが、誤った方向へ進む危険性も浮上している。サッカーとワールドカップの未来を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■日本も恩恵にあずかった参加国拡大だが...
国際サッカー連盟(FIFA)がワールドカップを2年に一度開催する方向に踏み出している。
この問題については、先日、大住良之さんも「反対」の論陣を張っていらっしゃったが、僕も「反対」を表明しておきたい。
もちろん、FIFAの言うように「2年に一度」の大会とするメリットもあるのかもしれない。
なんといっても、ワールドカップが現在よりも頻繁に開催されれば(しかも、参加国数が拡大されれば)、どの国にとってもワールドカップ本大会に参加できる機会は大きく増える。
そして、ワールドカップに出場することがその国のサッカーの発展にとって大きなきっかけになる。そのことは、ワールドカップの参加国拡大の恩恵で1998年のフランス大会に初めての出場を果たし、それがスタートしたばかりのプロ・リーグの発展につながったわが国の例を見れば明らかだ。
1994年のアメリカ・ワールドカップは24か国参加で行われ、アジア枠は2か国だけだった。そのため、ドーハでの最終予選最終戦でイラクと引き分けた日本はアジア予選3位となって出場権獲得を阻まれた。
だが、4年後のフランス大会は32か国参加の大会となり、アジア枠も3.5に拡大されていた。そして、日本はアジア第3代表決定戦でイランを破って初出場を果たしたのだ。
だから、ワールドカップが「2年に一度」に変更されれば、同様の恩恵を受ける国がたくさん出てくるはずだ。
だが、同時に「2年に一度」の開催には数々の問題点がある。