■FIFAが自ら表明した「拝金主義」

 だが、FIFAの議論の進め方はあまりに拙速かつ乱暴きわまりないものだ。

 FIFAは「2年に一度」にすれば収入が44億米ドルも増加し、その収入を各国協会に還元する。各国協会に対する分配金は現在の4倍にも達する。「だから、『2年に一度』案に賛成しろ」と各国協会に迫っているのだ。

「拝金主義」を自ら表明しているわけで、かえって清々しくさえ思えるのだが、はっきり言って、これはいわゆる「札束で頬をひっぱたく」という強引な手法である。

 まるで、強大な経済力を背景に発展途上国に対して「一帯一路」構想への参加を迫る、どこかの“赤い帝国”と同じようなやり方ではないか。

 多くの小規模な協会にとっては魅力的な話だろう。

 ワールドカップ出場など夢のまた夢といった弱小協会にとっては、ワールドカップが「4年に一度」であろうが、「2年に一度」であろうが、はたまた毎年開催されようが、大した問題ではないのだから、収入が増えるのなら反対する理由はまったくない。

 もちろん、FIFAが世界のサッカーの発展のために各国協会を支援することはとても大切なことだ。だが、分配金を巨額にすれば、それが各国のサッカーのためにしっかりと使われるとは限らない。多くの小国は、FIFAが表明するような数千万ドルの分配金をうまく使い切れない可能性も高い。その“濡れ手に粟”的な巨額の資金の流れが各国協会の新たな腐敗や汚職につながらないか、心配になってしまう。

 そもそも、FIFAという組織は、その安定した財政基盤や影響力を行使することによって、過度な商業主義がサッカーというスポーツを蝕むことを防ぐことこそが本来の役割なのではないか。自らが金儲け路線に走るなど「言語道断」と言っていい。

(2)へ続く
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