【皇后杯考察】再考の余地がある女子サッカーのアンバランスな構造【プロリーグスタートの年末に考える日本女子サッカー成長の方策】(3)の画像
浦和レッズレディースは29日にも勝利してベスト4へと進出した 撮影:渡辺航滋(SONY α9Ⅱ使用)

 2021年には、日本で新たな試みがスタートした。初の女子プロリーグ「WEリーグ」が開幕したのだ。
 模索しながらのスタートで、改善すべき点は多いにある。その一端が、皇后杯で見て取れた。年末に届いた驚きのニュースから、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■均衡打開を託された右サイドバック

 どちらもゲームをコントロールすることができず、どちらも決定機を作ることができな……。そんな浦和レッズレディース(WEリーグ3位)と伊賀FCくノ一三重による一進一退の攻防は後半に入っても続いた。

 そんな中で、浦和が打開の道を託したのは右サイドバックとして先発した清家貴子の個人能力だった。

 清家はもともとはFWの選手だったが、浦和を強豪チームに育て上げた森栄次監督が就任した2019年に右サイドバックにコンバートされた。今シーズンは、故障明けで90分フル出場できない試合も多かったが、それでも激しい上下動をするサイドバックとして浦和の中心選手となっている。

 後半開始から、浦和はゲームに絡めなかった菅澤を退け、右サイドバックの水谷有希を投入。清家を1列前の右サイドハーフに置いて、サイドハーフだった塩越柚歩をトップに置き、清家の攻撃力を生かそうとしたのだ。それでも、攻撃力が上がらないと見るや、60分頃には塩越を右サイドハーフに戻して、清家をトップに置いたのだ。

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