■川崎のベースをつくったのは風間さん
後藤「試合前のウォームアップを見ているだけでもすごい。シーズンが進んでいくと手順が段々変わってくる。終盤になると相当疲労があったんだろうね、シーズン前半戦のような強度の高いウォームアップをしなくなった。シュート練習にしても、パスを回してからきちっと蹴るパターンだったのが、終盤にはただ蹴って終わりにしたり。そういう部分だけ見ても細かいよ」
大住「ウォームアップを見ているだけで、勝負が見えた、と思うよね。ボールがぴたっと止まるとか、ぴたりと相手の足にパスが行くとかさ。シュートはちゃんとサイドに送り込まれるとか、全然レベルが違うんだよ。ほとんどのチームがペナルティエリアの外でリターンパスを受けてドカンと打つんだけど、川崎はリターンパスを受けて、エリアに持って入って打つんだよね。しかも他のチームはGKも必死に守るものの、エリア外から打って1割入るかどうかだけど、川崎は7、8割決めるんだよね」
後藤「ほとんど日本人だけであれだけのチームができるんだから、他のチームにだってできるはずで、頑張れば川崎に匹敵するチームが2つか3つはできるはず。川崎だって、風間八宏さんが来た当初はうまくいかなったけど、その後もそれを継続したおかげでここまでになったんだし」
大住「普通は動きながらいかにボールをコントロールするかという練習をするけど、風間さんは『絶対に止まって受けろ』と言うんだよね。そうすればミスはなくなるから、止まって受けられる状況をつくれ、と言うんだよね。その辺りから洗脳を始めて(笑)、中村憲剛や大島僚太といった選手を手本に、つないでいけばこういうサッカーができるじゃないかというのを叩き込んだ。風間さんに何が足りなかったのか分からないけど、鬼木達監督の時代になって、それが全部勝利に結びついたよ」
後藤「風間さんの時代よりも、一発のパスで抜け出すとか、いろいろなことができるようになっている。ロングパス一発で抜け出しちゃうとかね」