天皇杯も優勝チームが決まり、Jリーグクラブの2021年の公式戦はすべて終わった。一方で、2022年シーズンへの期待はすでに膨らみ始めている。
天皇杯の覇者となり、獲得タイトルをさらに増やした浦和レッズは、2022年のJ1でも優勝争いを演じることができるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■先制後に見えた浦和と大分の違い
1点リードした浦和レッズの選手たちは、「どこまで攻撃的に戦うべきか? どこまで慎重にゲームを進めるべきか?」に悩んでいるように見えた。
一見ゲームをコントロールしているようでありながら、ゲームの流れも、相手チームも、そして自分たちの心理状態もコントロールできていなかった。
事実、後半に入ると大分トリニータはさらにポゼッション率を上げ、しかも前半と違って浦和のゴールに迫り始めた。
前半、大分がボールを持てるようになったのは、MFの下田北斗または小林裕紀が最終ラインに下りてパスを散らす形を増やしたことによるものだった。
そして、後半に入ると大分は下田、小林のポジションを意図的に下げてそこからしっかりと繋いでパスを展開することでポゼッション率を増やしたのだ。
このあたりが、片野坂知宏監督が6シーズンかけて作り上げてきたチームの完成度の高さなのだろう。自分たちのやり方に変化を加えることができる。
たとえば、準決勝の延長で川崎フロンターレに先制ゴールを許した後、大分はエンリケ・トレヴィザンをトップに上げてパワープレーに移行したのだが、その変化はとてもスムースだった(それが、川崎にプレッシャーを与えた)。決勝戦でも、下田と小林裕をうまく深い位置で使って前半の最後につかみかけた流れを見事に後半につなげた。