■浦和の選手を示す赤い磁石の配置

 試合前、いつも通り誰よりも早くベンチに座ったリカルド・ロドリゲス監督。その隣には、戦術ボードがあった。そこには、両チームの仮想システムが磁石で示されていた。大分のシステムは4バック。そして、浦和の選手を示す赤い磁石は全部で12個ある。その意図は分からないが、浦和から見て右サイドの選手に大分の選手を多くひきつけ、左サイドの選手が空くようになっていた。

 これが、この試合における浦和の一つの戦い方を示すものかどうかは分からないが、開始6分の先制ゴールは、その右サイドからのものだった。小泉佳穂が右サイドでボールを持って突破を図ると、関根貴大にボールがこぼれる。関根は相手選手を引き寄せながら、マイナスに折り返す。そこに走りこんできたのは、江坂任。左サイドからの飛び出しではないが、右サイドで密集させたゴールで、戦術ボードの配置を思い起こさせるゴールだった。

「前半はやりたいプレーを表現できていたのかなと思いますし、相手にチャンスを与えなかった意味でも良い入りだったと思います」

 リカルド・ロドリゲス監督が、最初の45分間をこう振り返ったのに対し、片野坂監督は「なんとか0-0の状況を続けていく中でチャンスを仕留めたいと思っていたのだが、早い時間に失点することによって追いつかなくてはならない状況」になってしまったことを悔やんだのだった。

PHOTO GALLERY ■【画像】リカルド・ロドリゲス監督と浦和の戦術ボード■
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