■J1クラブより下部リーグのクラブにお金が集まったワケ

――なるほど。トークンの価値を決めるには、出だしがとても重要になりますね。

田中「そうですね。ただ、もちろん、高いカテゴリーにいるクラブの方がファンは多いから、購入者層も多いということなりますが、実際はそう単純でもないんです。たとえば、現在J1のアビスパ福岡では、スタート時に1000万円弱が集まりました。一方で、四方さんの鎌倉インテルでは2300万円くらい。現在関東リーグ2部の南葛SCだと4000万円ほど集まりましたね」

――下部リーグのクラブの方が多くお金が集まったんですね。どのように解釈すればいいでしょうか。

田中「クラブの発信力やファンを巻き込む力、周辺の関係者の層などが影響すると思います。四方さんは47日連続で、トークンの魅力について毎晩配信していました。そうしたことが大きいんですよね。また鎌倉インテルや南葛SCのファン、関係者の方たちは大人が多いので、トークンの仕組みをよく理解していただけていると思います。

 みんなで何かしら体験していくという部分を、しっかりコンテンツとして出していく、そういう素地があるクラブとは、非常に相性が良いかなと思います」

四方「地域格差やリテラシーは、やはり影響するんですよね。これは海外でも同じなのですが、Jクラブ、特に地方クラブでは、純粋にサッカーをというか、今までのオールドスタイルで応援してもいるので、何か新しいことにアレルギー反応が起きがちです。

 トークンに火をつけたSHIBUYA CITY FCの方たちは、とにかく新しいことが好きで、プロセスエコノミーを応援してくれるような人たちがファンについているというイメージです。だから初期売り出しで一口が万単位になっても、プライスレスなものを買っている、という感覚なんですよね。そうやって、各クラブのカラーが出てくる印象です」

――そのプロセスエコノミーを言語化すると、どうなりますか。

四方「一緒につくっていく喜びですよね。僕らのクラブは、J1から数えると『J8』なんですよ。神奈川県2部リーグをJ1と比べたら、経済規模は数百分の一です。でも、つくっていく過程がゲームのようで面白いとか、未熟だからこそ応援したくなる、さらには自分の貢献が目に見えて伝わってくる。そういうことが、価値になっていると思うんですよね。既存のJリーグのファンは、スーパースターがいて、その選手たちが活躍してくれて、“与えられること”を喜びにしているという印象です」

「プロセスエコノミーは一緒につくっていく喜び」四方健太郎氏

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