■トークンでクラブ経営が難しくなる?
――なるほど。話は変わりますが、持っているトークンの数によって、その価値に違いが出てくるのでしょうか?
田中「そうですね。たとえば100トークン持っていたら、チームが企画した投票に100票分参加できる、ということです。議決権みたいなものですね。持っている数が多いほど、大きな影響力を持つことができます。
あるいは、一定数以上のトークンを持っていることを、コミュニティー内に設けられた特別なコミュニティーへ入る条件にしてもいい。その他には、特典への応募条件にすることなどもできます」
――なるほど。ただそれでは、トークンを買う人が増えるほど、さまざまな意見が出て、クラブの運営が難しくなるのではないでしょうか?
四方「クラブとしては、フリーで意見は受け付けますが、すべてを採用できるわけではありませんよね。だから、いくつかのアイディア、選択肢の中から選んでもらう、といった形になると思います。ただ、それがつまらなければ持っているトークンは売られてしまうだろうから、絶妙なコントロールが必要だと思いますね」
田中「トークンを持っていると、意外と皆さん、無責任なことは言わないんですよ。自分がトークンを持っているから、ある程度は自分事としてしっかり考えるんですよね」
四方「僕の立場からすると、いわゆる取締役会事項みたいな最終決定権をユーザーに与えるというのは、逆に無責任だととらえています。一方で、トークンの価値を高めて、みんなでつくっていくんだよというメッセージを投げ続けるには、いろいろなところを開放して中をできるだけ見せる姿勢が必要だと思います。
不思議なもので、僕らのコミュニティーにいる熱心なファンの方たちは、ビックリするくらいこちらに寄り添ってくれています。たとえば、クラブのグッズのデザインをみんなで決めようか、という意見も出ました。僕らはみんなで作ろうと言っているのに、“いや、ファンが作るよりデザイナーさんにお願いした方が良いに決まっている”“だからクラブで作ってほしい”という声が出てきて、面白いなと思いましたね」
田中「実際にバスケットボールのBリーグのチームが、来シーズンのユニフォームを投票で決めた例があります。そういうことにチャレンジするクラブも出てきているので、たとえば、クラブカラーを決めるなど、アイディア次第でいろいろと拡張できるかと思いますね」