■最下位ベトナム相手に「イチゼロ」では満足できない
ミッションはクリアできなかった。
11月11日に行なわれたカタールW杯アジア最終予選のベトナム戦は、勝点3を奪うだけでは物足りない試合だった。ここまで4試合を終えた日本は、すでに2敗を喫しているだけでなく、得点力不足に直面している。グループ首位のサウジアラビアと2位のオーストラリアが8得点、3位のオマーンが5得点を記録しているのに対し、日本は3得点に止まっている。ライバルたちに得失点差でも劣っているのだ。4連敗で最下位に沈むベトナムからは、勝点3だけでなくより多くの得点を奪うことが求められた。
試合の入りは悪くなかっただろう。大迫勇也のポストプレーから南野拓実が左サイドを突破し、ゴール前へのクロスを伊東純也が決め切った。3トップが関わって先制した。
敵地ハノイで全選手が揃って練習できたのは、試合前日の一度きりだった。フィジカルコンディションでベトナムに劣っていたのは間違いなく、ベトナムは弱小国ではない。さらに付け加えれば、試合が行なわれたスタジアムのピッチはデコボコが目立った。開始早々に南野がゴール正面から放ったシュートも、インパクトの直前にボールが弾んだことで精度を失った。
差し引いて考えるべき材料はある。だからこそ、1対0としたあとにもう一段ギアを上げてもよかったのではないだろうか。前半のうちに点差を拡げることができれば、その後の試合運びに余裕が生まれたはずである。
不運はあった。39分、相手CKからカウンターを仕掛け、伊東がスーパーなゴールを突き刺した。ベトナムを意気消沈させる一撃だったが、VARで取り消されてしまった。伊東とは無関係の、田中碧のアクションがオフサイドと見なされてしまった。
このゴールが認められていれば、その後の展開は変わっていたに違いない。