■田中碧が鹿島戦後に見せたピッチでの行動
旗手の場合、涙の理由はそれだけではないだろう。旗手は、今オフにスコットランド1部のセルティックへの移籍が決定的となっている。移籍金は150万ユーロ(約1億9500万円)と言われ、今年6月まで横浜FMを率いていたアンジェ・ポステコグルー監督の下でプレーすることが確実視されている。そうなれば、この大分戦が日本での最後の試合であり、さらに等々力競技場での最後の試合となる。その節目となる試合で勝てなかったこと、そして、最後にチームにもう一つのタイトルをもたらすことができなかった悔しさが、涙になったのかもしれない。
川崎はシーズン中に2人の選手を海外移籍させている。FW三笘薫(ベルギー/ユニオン・サン=ジロワーズ)とMF田中碧(ドイツ2部/デュッセルドルフ)の2人だ。田中にとって国内最後の試合は、等々力での鹿島アントラーズ戦(5月30日)。田中はいつものように90分間走り回ってボールを循環させ、2-1の勝利に貢献。試合終了のホイッスルが鳴ると、ピッチの大の字になって寝ころんでしまった。ジェジエウに起こされるまで笑顔で等々力の空を見上げる姿には、何かを感じさせるものがあった。
この段階で田中の海外移籍は一般に知られていなかった。しかし、田中自身はすでに“巣立ち”を決意しており、その秘めた思いがこういう行動になったのだろう。