バルセロナにとって、2シーズンぶりの緊急事態となった。シーズン途中に監督交代の荒療治を施したのだ。
呼び寄せられたのは、懐かしい名前だ。シャビ・エルナンデスが、再びブラウ・グラナの一員として戦う。
生え抜きの帰還に、クレの期待は高い。
だが、本当にバルサは復活するのか? “シャビ・バルサ”の未来を考察する。
■よみがえるグアルディオラ時代のサッカー
主に中盤でプレーしていたシャビは、ゲームをオーガナイズするタイプの選手だった。当然、選手時代の考え方は監督になってからも引き継がれている。“ボールを大事にする”という概念は、バルセロナのカンテラで育った者のDNAとして、彼の体内に脈々と流れている。
シャビはアンドレス・イニエスタ、ブスケッツと共にグアルディオラ監督のチームで盤石の中盤を築いた。この3人が試合をつくり、メッシが仕留めるというのが、黄金時代のバルセロナの勝利の方程式だった。
一方、ルイス・エンリケ監督が率いたバルセロナでは、シャビは苦しんだ。メッシとネイマールという素晴らしいウィンガーがいたが、ここにルイス・スアレスを加え、それぞれの頭文字を取って「MSN」と称された3トップに依存した攻撃は時に性急で、チーム全体が間延びする傾向にあった。L・エンリケ監督は年齢を重ねていたシャビよりもハードワークができるイバン・ラキティッチを重宝するようになっていった。