■「集中しろ、集中!」

「集中しろ、集中!」

 3度の選手交代が終わり、あとはピッチにいる選手たちに託すしかなくなったマリノスベンチ前で、喜田拓也は懸命に声を送っていた。黄緑のビブスを着たまま試合を終えることが確定したキャプテンは、試合の再開を急ぐためにボールボーイのように動き、ファウルがあればレフェリーにアピール。なんとかしてチームの力になろうとし続けたが、ピッチの外からできることには限界があった。

飲水タイムに声をかける喜田拓也 横浜F・マリノス対ガンバ大阪(20211103)撮影/原壮史

 試合はそのまま0-1で終わり、選手たちはサポーターへの挨拶のために場内を一周。喜田はその先頭を歩き、深く、長いお辞儀で気持ちを伝えた。

 ゴールが不可欠だったマリノスは71分にボランチの岩田智輝をフォワードの仲川輝人に替えて攻撃的になると、そこからは攻撃の選手の入れ替えとサイドバックの交換、という選手交代を行った。これはゴールを欲するチームにとって当たり前のカードの切り方で、主に岩田の位置でプレーする喜田はベンチに残された。

PHOTO GALLERY 横浜F・マリノス対ガンバ大阪 20211103
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