【ドラマチックJ2】京都「90+6分」、川崎颯太「ダイビングヘッド決勝点」は必然!声を詰まらせたチョウ監督の「背番号10」への熱い思い【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
川崎颯太(京都)   写真:松尾/アフロスポーツ

■京都劇勝! アディショナルタイムのドラマ!

 J1昇格をつかみ取るという思いが、ピッチ上にはっきりと表れた瞬間だった。

 11月3日に行なわれたJ2リーグ37節の京都サンガF.C.大宮アルディージャの一戦には、ドラマティックなシナリオが用意されていた。スコアレスドローで迎えた後半アディショナルタイムの90+6分に、ホームの京都が大宮のゴールをこじ開けたのである。

 CKの流れで相手ゴール前に人数をかけていた京都は、右サイドから福岡慎平がクロスを入れる。すでにこの瞬間から、ゴールの気配が漂っていたと言っていい。何かが起きそうな予感が、サンガスタジアムに広がっていった。

 ニアサイドの麻田将吾が頭で薄くスラすと、ゴール前に川崎颯太が飛び込んでいた。身長172センチの彼は、これまでセカンドボールを回収する仕事を与えられていた。しかし、ここ数試合はゴール前の競り合いに加わることになっていた。

「自分が中にいたからには、絶対に触って決めてやろうと思っていました。(1対1の引分けに終わった35節の)山口戦で決定機を外していたので、今回は決めてやろうという気持ちがとくに強かったです」

 相手GKが飛び出せない、相手守備陣もクリアできないところへ入ってきたボールを、川崎はダイビングヘッドでねじ込む。その瞬間、サンガスタジアムを爆発的な歓喜が駆け巡る。観客はコロナ禍で声を出せない。入場者数も制限されている。それでも、サンガの勝利を願う熱がピッチに降り注がれ、選手たちが観客の熱をエネルギーに変え、スタジアム全体が一体となる。アディショナルタイムのドラマは必然だった。

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