【ルヴァン杯初優勝考察】リーグ制覇の鍵は新たな看板候補の「喧嘩サッカー」【名古屋グランパスに問われる「2強体制打破」の資格】(3)の画像
ルヴァンカップ決勝でもシュヴィルツォクは得点に絡んだ 写真:中地拓也

 名古屋グランパスが、ルヴァンカップ初優勝を果たした。セレッソ大阪との決勝をものにして、これで国内3大タイトルをすべて手に入れたことになる。
 名古屋は本当に日本トップとなれるのだろうか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。

■2つのカップ戦で見せた力強さ

 今シーズンの名古屋に、最後まで複数のタイトルを狙える状況が生まれたのは、守備の安定を失っても、点を取って勝つ力があったからでもある。

 ルヴァンカップの準々決勝は9月の初めに行われたが、この時名古屋グランパスは鹿島アントラーズに対して2戦とも2対0の安定した戦い方で勝利した。2試合とも相手をゼロに抑え、前半のうちに先制して、後半追加点を決めるという、理想通りの試合運びだった(「ウノゼロ」よりも「ドゥエゼロ」こそが試合運びとしては理想だろう)。

 ルヴァンカップの準決勝のファーストレグでも、終盤まではほぼシナリオ通りの戦いだった。FC東京相手に前半17分に柿谷曜一朗が先制し、後半も木本恭生が追加点を決めて2対0としたのだ。

 ところが、シナリオが狂ったのはアディショナルタイムに1失点してしまったこと。その後、マテウスが決めて再び2点差として初戦をものにしたのだが、その1失点がセカンドレグの戦いに大きく響いてしまったのだ。

 アウェーでのセカンドレグ。最低でも2点を取らなければならないFC東京が攻撃をしかけてくる。2019年にFC東京が2位に食い込んだ時の立役者である永井謙佑ディエゴ・オリヴェイラが先発で、攻撃力もかなり上がっていた。そして、15分にCKからFC東京が先制すると、55分には右クロスからのこぼれ球を高萩洋次郎が決めて、FC東京は2試合合計スコアを3対3の同点とし、アウェーゴールで名古屋を上回ったのだ。

 しかし、この絶体絶命の流れでも、名古屋は点の取り合いを受けて立った。86分、名古屋は1点を返して、合計得点で4対3として決勝進出を決めたのだ。

 ロングボールを蹴り込んで作った混戦の中から、最後は稲垣祥が決めたゴール。奇麗な形を作るよりも1点を押し込むという意識の“喧嘩的な”サッカーで決勝進出を決めたのだ。

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