近年にない不振に見舞われたバルセロナは、ついに決断を下した。ラ・リーガ第11節のラージョ・バジェカーノ戦に敗れた後、ロナルド・クーマン監督を解任したのだ。
数年前ならば考えられないような状況に陥っているが、クラブには何も残されていないわけではない。クラブが礎としてきた、自前の育成選手たちである。
経済的な問題が、現在の苦境に直結している。だが視点を変えれば、バルセロナの違う未来が見えてくる。
■クーマン解任の陰で
いかなる時でも、希望の光は、ある。
バルセロナは今夏、リオネル・メッシを手放した。13億5000万ユーロ(約1750億円)まで膨れ上がった負債と、コロナ禍の打撃で厳しい財政事情を抱え、6度のバロンドール受賞を誇る「史上最高の選手」をフリーで放出せざるを得なかった。
メッシの退団はバルセロニスタに大きなショックを与えた。
そのショックを振り切れないかのように、バルセロナは今季の序盤戦で苦しんだ。
リーガエスパニョーラでは9位まで順位を落とし、クラシコではレアル・マドリーに本拠地カンプ・ノウで1−2と完敗した。
そして、リーガ第11節のラージョ・バジェカーノ戦で敗れると、ついにジョアン・ラポルタ会長の堪忍袋の緒が切れた。ロナルド・クーマン監督が、解任されたのだ。
だが、暗いニュースばかりではない。このクラブには、世界で有数のカンテラ(下部組織)があるのだ。
ガビ、アンス・ファティ、オスカル・ミンゲサ、ニコ・ゴンサレス、アレックス・バルデ、ロナウド・アラウホ…。若い選手たちは、ここぞとばかりに出場機会を得るために猛アピールしている。
ペドリ・ゴンサレスに関しては、厳密に言えば、バルセロナのカンテラ出身選手ではない。しかしながらペドリやセルジーニョ・デストといったヤングプレーヤーもまた、カンテラの選手たちの刺激となっているはずだ。
彼らは切磋琢磨しながら日々成長している。厳しい財政だから、カンテラの選手に賭ける方向にクラブは舵を切った。ピンチの中に、チャンスあり。逆境でこそ、好機が生まれる可能性というのもあるのだ。