当初の呼び名の「フランチャイズ」から変更された理由【ホームタウンがなければJリーグは生きられない】(2)の画像
フランチャイズという言葉はJリーグには、そぐわない 撮影:渡辺航滋

 センセーショナルな見出しが、Jリーグファンを揺さぶった。「ホームタウン制度の撤廃」。このニュースは即時にJリーグによって否定されたが、時代に即した変化が必要であることは確かなようだ。では、Jリーグとクラブにとって「ホームタウン」とは何なのか。サッカージャーナリスト・大住良之が、改めてその核心を掘り起こす。

■「商圏保護」はJリーグにそぐわない

「フランチャイズ」というと、現代の日本では、コンビニやファーストフードの店舗に使われることが多いが、本来は、特定の地域での商品販売を独占的に認められた権利を意味している。たとえばマクドナルドがそう大きくない駅の駅前に2軒あったら、共倒れになってしまう。そこで人口や人の流れを考えて「地域内独占権」のようなものを認めるのである。アメリカのプロスポーツではこの考え方が古くから行われており、どのスポーツでも都市ごとのフランチャイズが設定されている。

 日本でプロサッカーリーグの設立が決まり、具体的な運営が検討され始めたころ、実は当初「フランチャイズ」という名前でクラブの地域割りが考えられていた。しかし「商圏保護」の色彩が濃いこの言葉は新しいプロサッカーリーグのイメージに適さないという意見が出て、すぐに検討が始まった。次に出たのは「本拠地」だった。日本のプロ野球で使われている言葉である。ビジネス色が少し薄くなるが、まだイメージどおりではなかった。そして最後に出てきたのが「ホームタウン」だった。

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