【日本初の女子プロリーグ】冨安健洋とともにアーセナルで活躍するなでしこ・岩渕真奈、Jリーグにも通ずる国内空洞化の懸念【WEリーグの現状と将来への展望】(2)の画像
ベレーザは若手が成長しているが、浦和は年齢構成のバランスが良い 撮影:渡辺航滋(SONY α9Ⅱ使用)

 日本初の挑戦がスタートした。女子プロリーグ、WEリーグの開幕である。Women Empowerment(女性に力を)の略を名称としたリーグは、日本の女子サッカーにどんな影響を与えるのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が新生リーグを深く見つめる。

 日テレ・ベレーザの苦戦のもう一つの理由は、先ほど述べたように長谷川や籾木といった主力メンバーが海外に流出し、昨シーズンは田中、今年初めにはGKの山下と、最大のライバルの一つINAC神戸への“禁断の移籍”を果たした選手がおり、ベレーザは一昨年までの「なでしこリーグ」で5連覇当時の主力の多くが流出してしまったことの影響も当然あるだろう。

 ベレーザは下部組織であるメニーナから数多くの名選手を輩出している女子サッカー界の育成の名門である。

 同じクラブの男子部門である東京ヴェルディも育成面では現在でも日本有数のクラブだ(最近だけでも、中島翔也、畠中槙之輔安西幸輝渡辺皓太藤田譲瑠チマといった各年代別代表に名を連ねる選手たちがこのクラブから育っている)。だが、クラブの財政状態が悪いため、ヴェルディ出身の選手たちはユース年代を終えると早々に移籍してヴェルディを離れてしまい、東京ヴェルディ自身はこの数年すっかりJ2に定着してしまっている。

 女子のベレーザの方は、下部組織育ちの選手たちがベレーザで活躍することによって、長く「日本最強」の地位を維持してきた。だが、ここに来て、移籍によってベレーザを離れて選手が増えてきているのだ。

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