■オンサイドに「残っている」か「残している」か
現行のオフサイドルールは、相手陣内にいる競技者が「頭、胴体もしくは足の一部でも、ボールおよび後方から2人目の相手競技者より相手競技者のゴールラインに近い位置にある」場合に「オフサイドポジション」にあり、その位置にいる瞬間に味方によってプレーされたボールをプレーした場合にオフサイドになる。
手や腕ではゴールをすることは許されないから、手や腕が前に出ていても反則にはならない。あくまで、得点をすることができる体の部位が相手競技者より前に出ていることがオフサイドの条件となる。
しかし「ベンゲル・ルール」では、まったく変わる。自分の体の一部でも、相手の体のいちばん後ろの線より自陣側にあれば「オフサイドポジション」にはならないというのである。言葉ではわかりにくいと思うが、図を見れば一目瞭然である。あるJ1副審は、「いまより2メートル近く進んでも反則にならないことになる」と表現している。
当初、ベンゲルの「思いつき」はFIFAの幹部にありがちな「妄想」かと思われたが、IFABは真剣にとらえ、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長も(こちらは十分予想されたことではあるが)賛同し、ことし5月に開催されたFIFAのカウンシル(以前の理事会に相当)で「2022年に正式導入の予定」と伝えられたという。