■柴崎とは違う田中のパス

後藤「サッカーにおけるシュートというのは特別な技術ですからね」

大住「ただの技術じゃないからね。でも、田中碧のシュートは“技術”だったね」

後藤「本当に落ち着いて、あのコースに乗せたよね。(2018年ワールドカップ)ベルギー戦の原口元気のゴールのように」

大住「あれよりも『技術』だったと思うよ。というのは、田中って中盤から縦にスパッと入れるパスが得意でしょう。まさに同じような蹴り方だったんだよね。正確にあそこに『送り込んだ』という感じで。縦パスは、ああいう強いインサイドのキックで蹴るからね。田中は小さい振りで、すごく速いボールを正確に足元に入れるんだよね」

後藤「柴崎岳のパスは、ためておいて、本当に正確に転がすようなパスだけど、田中のパスはピッと入るんだよね。その技術をシュートにも使えるようになっている」

大住「あれは本当にシュートじゃなくてパスだった。シュートを打つ時はGKもDFも寄せてくるし、後ろから来る足音も聞こえて、力が入って硬くなるけど、あそこでパスと同じプレーができるというのは、田中のすごい才能だよね」

後藤「これだけチームが批判されて、監督交代も取りざたされている状況で、代表経験のない選手が落ち着いて蹴ったというのは大したものです」

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