■名古屋をタイトルへ導いたベンゲル

 日本人選手が初めて活躍したイングランドのビッグクラブがアーセナルというクラブだったことにも、何か因縁めいたものを感じる。アーセナルはイングランドのクラブの中でも日本人にとって最も有名で身近なクラブだったからだ。

 Jリーグ発足以降にサッカー・ファンになられた方にとって、アーセナルといえば名古屋グランパスを強豪クラブに育てた名将アーセン・ベンゲルが監督となったクラブということになるだろう。

 1994年までフランスの名門ASモナコの監督を務めていたベンゲルは1995年にそれまでは弱小クラブだった名古屋の監督に就任。1995年にはJリーグのセカンドステージ(ニコスシリーズ)で2位に入り、また天皇杯全日本選手権で優勝を飾る。そして、1996年の夏にはイングランドの名門アーセナルの監督となって名古屋を離れたのだ。

 名古屋での監督在任はわずか1年半という短いものだったが、日本人のファンに強烈な印象を残し、その後、何度も日本代表監督の候補として取り沙汰されたが、ベンゲルが名門アーセナルの監督という地位を捨てて日本に戻ってくることは考えづらいことだった。事実、ベンゲルはアーセナルに21シーズン在籍し、プレミアリーグにおける最長在任記録を樹立したのである。

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