■メキシコ五輪前に来日したアーセナル

 もう少し年齢の高い(つまり、僕と同年代の)オールド・ファンにとっては、1968年に来日したアーセナルが忘れられない思い出だろう。

 第2次世界大戦後、航空機による移動が普及していくと本場ヨーロッパから来日するサッカー・チームも増えてきていたが、多くはスウェーデンやスイス、西ドイツ、ソ連といった国々のチームだった。各国のトップリーグとはいえ、まだ正式にプロ化される前のセミプロまたは“事実上のプロ”だった。

 日本で初めて「プロチームの来日」と騒がれたのは1966年6月のスターリング・アルビオンであり、当時アマチュアリズムが根強かった日本ではわざわざ日本体育協会(現、日本スポーツ協会)の許可を取って対戦したという試合だった。

 しかし、スターリング・アルビオンはスコットランドの1部と2部を行ったり来たりしている無名のクラブだった。

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