■負傷交代をきっかけに生まれた先制点

 こうして、横浜FMはボールを握って攻撃してはいるものの、決定機は作れず、そして横浜FCにやや幸運なゴールが生まれた。

 ボランチのアルトゥール・シルバが負傷して交代を強いられたのがきっかけだった。その結果、瀬古がポジションを下げてボランチとなり、右のシャドーにはジャーメイン良が入ったのだ。そして、この交代の2分後の38分。安永玲央が右に開いたボールをマギーニョが中に戻すと、ボランチの瀬古が右サイドにロビングを上げる。そのボールがジャーメインの前に落ち、そのジャーメインのクロスをトップのサウロ・ミネイロが合わせたのだ。

 ポジションを変えた瀬古と、投入されたばかりのジャーメインがお膳立てをしたゴールだった。ジャーメインはまだゲームに入り切れていなかったようで、動き出しが遅れたのだが、それがかえって横浜FMの守備の足を止めてしまった

 後半、横浜FMはPKで1点を返したものの、73分には渡辺皓太が2枚目のイエローカードで退場となってしまう。ところが、それまで集中していた横浜FCの守備陣が集中を切らして、扇原貴宏のクロスに飛び込んできた前田をつかまえきれずに失点。

 こうして、内容はともかく横浜FMが勝点3を確保したかと思われたのだが、終了直前の89分に岩武克弥が強引に持ち込んで生まれたこぼれ球をジャーメインが頭でつないで、最後はサウロ・ミネイロが決めて、土壇場で横浜FCが追いついた。

 残留を狙う横浜FCは貴重な勝点1を獲得。そして、優勝争いをしている横浜FMとしては大事な勝点2を失う結果となった。

 こうして、一時は暫定的に首位川崎に勝点1の差まで肉薄した横浜FMは優勝争いから大きく後退。湘南戦で知念が湘南相手に決勝ゴールを決めた瞬間、川崎と横浜FMは勝点9差まで開いてしまった。

 最終節(第38節)には両者の直接対決が控えているが、そこで横浜FMが逆転を狙うためには川崎が2試合で取りこぼすことが条件となってしまったのだ。しかも、横浜FMが「残り試合を全勝して」という条件も満たさなければならないのである。

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