■ペップ・チームの成功に貢献したライカールトの勇気

 オランダ人監督が必ずしも成功をもたらしたわけではないが、残してきた揺るがぬ功績として、若手選手の発掘が挙げられるだろう。

 オランダ人監督は規律を大事にする。上意下達の手法においては、従順もしくは素直な若い選手は扱いやすい。言うことを聞くヤングプレーヤーは戦術を植えつけやすい対象であり、さらにはチームを自分色に染めるための助力となる。

 例えば、ファン・ハール監督の下では、シャビ・エルナンデス、カルレス・プジョール、アンドレス・イニエスタ、ビクトル・バルデスといったカンテラーノがデビューしている。彼らはその後バルセロナの黄金期を支えるメンバーとなった。

 ライカールト監督が率いた3年間では、実に19名のカンテラーノがトップデビューを飾った。メッシをデビューさせたのはライカールト監督であり、サミュエル・エトー、ロナウジーニョと共に若きメッシを3トップに組み込んだ勇気は、その後のペップ・チームの成功に間違いなく貢献した。

 クーマン監督の指揮下においても、ペドリ・ゴンサレスという才能が見出されている。ペドリだけではなく、アンス・ファティ、ロナルド・アラウホ、オスカル・ミンゲサらが重用されている。

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