■安定感をもたらした攻守のバランスの良さ
さて、8月以来の浦和の安定感ある戦いぶりをどう評価したらいいのだろうか。
もちろん、J1リーグの優勝争いはすでに川崎と横浜F・マリノスの両チームに絞られているが、浦和にはまだACL圏内の3位を狙える位置に付けている(3位の名古屋グランパスとの勝点差はわずかに2だ)。いや、そんなことよりも知りたいのはただ一つ、「来シーズン、浦和は優勝を狙えるのだろうか?」ということだ。
最近の浦和の安定感をもたらしているのは、攻守のバランスの良さである。具体的に言えば組織的な守備ができていることだ。
個人能力だけで守っていると、ボールを奪い返した瞬間には選手の配置がバラバラになっているため、すぐに攻撃につなげられず、再びボールを失って守備に追いやられることになる。だが、組織として守って狙いどころでボールを取れれば、ボールを奪った瞬間に選手の配置が整っているからすぐに前線にボールを送り込むことができる。
そして、組織的に攻めることができれば、ボールを失った瞬間に味方の選手はしっかりとポジションを取っているので、すぐに再びボールを奪いに行ける。
攻撃の時はもちろん、守備の時間でも常に組織を維持しなければならないのだ。
こうした組織(つまり選手同士の距離感など)はトレーニングを通じて作り上げていくしかない。そして、良い指導者が時間をかければ、当然、組織力は身に着いてくる。