■【その5 名将ジョック・ステイン】

クラブの黄金時代を築いたジョック・ステイン監督。(c)Y.Osumi

・「サポーターのいないサッカーなど無に等しい」

 この「黄金時代」を率いたのが、名将ジョック・ステインである。1957年までセルティックでキャプテンを務めて引退、いくつかのクラブで監督を務め、1965年にハイバーニアンの監督と兼任で短期間スコットランド代表の監督を務めた後、同年、42歳でセルティックの監督に就任した。そして1978年にそのポストを退くまで、リーグ10回、カップ7回、リーグカップ6回と、スコットランド国内で「常勝」を続けるとともに、欧州チャンピオンズカップも獲得した。

 セルティックパーク・スタジアムの正面には、欧州カップを手にした彼のブロンズ像があるが、その基盤には「Football without the fans is nothing(サポーターのいないサッカーなど無に等しい)」という言葉が刻まれている。攻撃的サッカーでサポーターを熱狂させ、その熱狂をチームの力に変換して勝利をつかむのが彼の手法だった。業績を称えられるだけでなく、サポーターから敬愛されたのは当然だった。

 彼は1978年からスコットランドの監督を務めた。1985年9月10日、スコットランドはカーディフに遠征してワールドカップ予選のウェールズ戦を戦った。この試合で引き分ければオーストラリアとの大陸間プレーオフ進出が決まるスコットランドだったが、前半13分にウェールズのFWマーク・ヒューズに1点を許して苦境に陥る。しかし後半36分、PKを得たスコットランドはデービー・クーパーが決め、1−1の引き分けにもちこんだ。

 この試合を前に、ステインは体調不良を訴えていた。心臓疾患をもっていたステインだったが、試合の準備のトレーニングに参加するために一時的に薬の使用を止めていたのだ。それが原因だったのか、試合が終わると同時に肺水腫で倒れ、そのままスタジアムの医務室で帰らぬ人となった。62歳だった。

「セルティックのユニホームは『二流』のためにあるものではない。劣った選手に合わせて縮むようなものではない」。セルティックパークの選手エリアには、いたるところにステインが残した言葉が飾られている。選手たちは、こうした強い言葉を胸に刻んでピッチに出ていくのだ。

※第3回につづく
PHOTO GALLERY 【画像】壮大なスタジアム、クラブ創設者ほかセルティックにまつわる写真
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