■ベースを崩さないアンチェロッティの賢さ

 レアル・マドリードは今夏、セルヒオ・ラモスラファエル・バランを放出した。契約満了を迎えていたラモスは、フリートランスファーでパリ・サンジェルマンに加入した。一方のヴァランは移籍金5000万ユーロ(約65億円)でマンチェスター・ユナイテッドに移籍している。

 ラ・デシマ(クラブ史上10度目のチャンピオンズリーグ制覇)を達成した頃からチームを支えていたCBコンビがいなくなった。この例が顕著に示すように、アンチェロッティ監督は改めてチーム編成を考えざるを得なくなった。

「現在のレアル・マドリードには、おそらく資金がない。つまり、大幅な刷新はできない。アンチェロッティの挑戦というのは、移籍が決定的だと思われていたような選手たちを改善させることにある。彼らは(移籍市場が閉まった)9月1日以降もマドリーでプレーしているだろう。だから、そういった選手たちをコミットさせなければいけないんだ」とはアンチェロッティ監督の就任の際、あるスペイン人ジャーナリストが残したコメントである。

 継続路線に、少しのてこ入れ。レアル・マドリードが、アンチェロッティ色を帯びながら、再出発している。

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