■21万人以上が入っていたと言われた事実上の決勝戦
大会中にスタジアムは完成。決勝リーグの最終戦、ブラジル対ウルグアイ戦ももちろんマラカナンで開催されました(リーグ戦形式で優勝を決めたのはこの大会だけです)。ブラジルは決勝リーグで2戦全勝、ウルグアイは1勝1分だったため、ブラジルは引き分け以上で優勝が決まるはずでした。そして、後半が始まってすぐにブラジルのフリアッサが先制ゴールを決めたのです。ところが、スキアフィーノとギッジャのゴールでウルグアイに逆転されて優勝を逃します。
これが「マラカナッソ」と呼ばれる世界のサッカー史上の大事件です。ブラジル側から言えば「マラカナンの悲劇」、ウルグアイ側から見れば「マラカナンの奇跡」ということになります。
この“事実上の決勝戦”の公式入場者数は17万3850人となっていますが、実際には21万人以上が入っていたと言われています。そして、スタンドではブラジルの逆転負けにショックを受けた観客が何人も心臓麻痺を起こして死亡したのです。
さて、僕がそのマラカナンを初めて見物に行ったのは1978年のアルゼンチン・ワールドカップの直後のことでした。
6月25日の決勝戦の翌々日、僕はブエノスアイレスから長距離バスに乗って、まずパラグアイの首都アスンシオンに向かいました。そして、アスンシオン観光を済ませた後、国境でイグアスの滝を見物してからブラジルに入りました。
ブラジルでは7月2日にサンパウロのモルンビ・スタジアムでサンパウロ対グレミオ戦を観戦。その後、リオデジャネイロに移動して、7月5日にはフラメンゴ対パルメイラスを観戦。そして、その翌日にリオデジャネイロからパンアメリカン航空機(懐かしい!)に乗って、ニューヨーク経由で帰国しました。