■「チームで結果を出すしかない」
「全員がA代表に入るという気持ちで、(それぞれの)チームで結果を出すしかない」
東京五輪を終えて新たな決意をこう話した前田が見せたのは、ゴールだけではなかった。大分戦で64回ものスプリント回数を記録。これは、自身が記録した62回という今季の最多記録を自ら更新したものである。指揮官は、試合勘を取り戻すことで前田は「もっともっと良くなる」と期待を強めるが、五輪後3試合目にしてこの結果は、まさにその通りの活躍と言っていい。
「僕の場合、良いのか悪いのかは分かりませんが、ゴールは感覚」
こう話す前田にとって、出場機会はプレーの充実をもたらす何よりの特効薬となるだろう。コンディションが徐々に上がる一方で、実は、大分戦の2点目と3点目は“想定外”だったという。というのも、先制ゴールを奪ったあとのゴールパフォーマンスは「家族と話していた中でバイキンマンに決まりました」と話すように、愛娘に向かって人気アニメのキャラクターを真似たポーズを披露。しかし、2点目と3点目を決めたあとは、パフォーマンスを見せなかったのだ。
その理由を、試合後にこう明かしている。「2点目、3点目を取れるとは思ってなくて、パフォーマンスを決めていなかったのは反省点です」 望外のハットトリックは、そのコンディションが上がっている証拠。“うれしい反省”を生かし、次節以降はゴールパフォーマンスを複数用意すべきだろう。