■先制点の直前に見せた右サイドの崩し
このゴールの直前には、横浜FCは右サイドでも似た形で崩しを見せていた。6分、中盤でボールを持った瀬古樹が、名古屋の選手に囲まれながらも右サイドを駆け上がるマギーニョにスルーパスを送る。ボールを持って持ち上がるマギーニョだったが、その動きを阻止しようと相馬勇紀と吉田豊が対応。しかし、松浦拓弥が名古屋の選手を引き連れながらも右に流れて縦パスを受けると、それをダイレクトでヒールパス。ペナルティエリア内に軌道を描いたそのボールをマギーニョが受けたのだ。結局マギーニョが上げようとしたクロスはブロックされたものの、右サイドを崩して見せた。先制点の場面と合わせ、大外からハーフラインで受ける場面を連続で作って見せたのだ。
しかし、早川知伸監督が「勝負の決め手になった」と試合後に語ったのは、守備だという。「フォーカスしてキャンプからやってきた守備の部分です。守備から早い攻撃は意図的なところを出せ」たと指揮官が誇ったように、名古屋の最終ラインに対して前線の選手が猛烈にプレスにかけ続けた。GKランゲラックのボールを奪わんとするほど強い圧力で、名古屋にリズムを掴ませなかった。アウェイチームの最終ラインから苦し紛れに出されたボールを刈り取り、そこから攻撃につなげるというイメージがチーム全体で共有されていた。