エッジの効いたダンスと最高の笑顔で若者の心をつかんでいるサッカー女子をご存じだろうか.
ショートムービーのプラットフォームＴｉｋＴｏｋで活躍する女子で、ユーザーネームは「東山のボランチ」。かわいい名前ではなく、サッカー用語であるボランチを冠する。そこにオリジナリティはある。
「東山のボランチ」こと榎彩咲さん（１６）はタレントで、高校１年生だった昨年の秋から「東山のボランチ」というユーザーネームとともに動画投稿に力を入れ始めた。１１月頃から人気に火がつき始め､フォロワー数はうなぎ登り。すでに３９万人を突破した。今年３月の時点で２７万人ほどだったので、毎月２～３万人のペースで増加している人気のティックトッカーだ。
ただ、彼女は単なるミーハーではなく、サッカー４級審判員の資格も持つ“ガチ勢”でもある。実際に、お気に入りの選手として名前を上げるのは……。
ファンのマニア化や高年齢化が心配される日本のサッカー界において、ライト層にも訴求できるガチ勢「東山のボランチ」のような存在は救世主となるのかもしれない。今回のインタビューでは、知られざるその素顔に迫った。
☆
――「東山のボランチ」ということは、京都にある東山高校出身で、日本代表の攻撃を牽引する鎌田大地選手のファンなのですか？
「いや、そうではないです（笑）。よく聞かれるのですが、実際にはそうではないので、なんと答えるのが正解なのか……」
――そうなんですか（笑）。「東山高校」と「ＴｉｋＴｏｋ」でいうともうひとつ。日本のプロスポーツチームのなかでもＳＮＳのフォロワー獲得に力を入れていることで有名なバスケットボールの川崎ブレイブサンダースがありますが、昨シーズン途中に高校在学中ながら「特別指定選手制度」（※一般企業のインターンにあたる）を利用して、東山高校に所属していながら川崎ブレイブサンダースでプレーしていた米須玲音選手のＴｉｋＴｏｋ動画がバズっていましたが、その影響は？
「もちろん存在は知っています！ 有名な方なので……」
――では、『東山のボランチ』と言うユーザーネームにしたのは別のキッカケがあるんですか？
「はい。サッカーを好きになるきっかけをくださったのが、東山高校のボランチの選手だったんです。すごくカッコイイと思って、そのノリでこの名前にした部分もあるんです」
――東山高校のボランチの選手がイケメンだったということですか？
「惹かれたのは、プレースタイルです！ 私が初めて東山高校のボランチさんのプレーを見たときには、体力などもすごいなと驚いて。去年の高校選手権（京都府）予選は現地で観戦しましたし、練習の様子もグラウンドの外から少し見させてもらったこともありました」
――ボランチに注目したのはなぜでしょう?
「ポジションとして、ボランチが好きだったんですよ。試合の行方を決めるのは、ボランチだと思っていて。ウイイレ（＊新たにｅＦｏｏｔｂａｌｌに改称）をやるときにも、ボランチをどの選手にするのかを決めてから、その前の選手や並びをどうするか決めるくらいなので」
――では、好きな選手やチームは？
「もともとは全盛期のバルセロナがすごく好きでした。でも、今はバルサではなくて、レアルの方が（笑）。というのも、マルセロさんがすごい好きで。テクニックがすごい選手に惹かれるので、マルセロさんがいるチームが気になっちゃいます」
―ーサッカーに興味を持つきっかけは?
「小さい頃に“お兄ちゃんと一緒に遊びたい”という一心で、サッカーをやっていたお兄ちゃんの練習によくついて行ってました。最初は、そこで好きになりました。ただ、そのころは鹿児島に住んでいたんですけど、小学校２年生のときに京都に引っ越して。そこでダンスに出会い、ダンスばかりやっていました。でも、高校に入って、またサッカーに興味がわいてきたんです」
――ＴｉｋＴｏｋ内の動画でダンスのキレが良いのはダンスの経験が活きているんですね。
「そうなんです。以前は自分から前に出て行くタイプではなかったのですが、ダンスをやったおかげで、人前に出ることに抵抗がなくなりましたし、上下関係を学べましたし。あとはＴｉｋＴｏｋには流行りの“振り”があるのですが、それを早く覚えるときなどにも役立っていますね」
