サッカースタジアムの「西高東低」問題(1)オリンピックまでの 日本代表戦12試合中「関東は2試合だけ」の異常事態の画像
ワールドカップ予選はほとんどが埼玉スタジアム 撮影/中地拓也

みなさんはもう、新しい国立競技場を訪れただろうか。いや、西日本や九州にお住まいのサッカーファンはもう、「聖地・国立」なんて思っていないのかもしれない。なにせ、見やすい最新式のサッカー専用スタジアムが、西日本や九州地方に続々と誕生しているのだから。陸上競技場でのトラック越しのサッカー観戦で満足しているのは、関東在住のサッカーファンだけなのかもしれない。サッカー観戦環境に“西高東低”問題が発生している――。

オリンピック代表とA代表の向きは一緒

 東京オリンピックに出場しているU―24日本代表はPK戦の末にニュージーランドを下して準決勝に進出。いよいよ、本気で優勝を狙う強豪国相手のベスト4の戦いに臨む。

 今大会の日本代表は、24歳以下の選手とオーバーエイジ3人との融合も順調に進み、メンバーが入れ替わっても常に同じようなパフォーマンスを発揮できているのが強味だ。

 森保一監督が2017年秋に就任して以来、多くの選手を試しながら一つひとつ積み上げてきたことの成果であり、また、森保監督がA代表との兼任監督だったこともあって多くのメンバーがすでにA代表でのプレーも経験していた。そして、2つのカテゴリーの代表は同じ方向性を持って強化を進めており、そのためオーバーエイジとの融合もうまくいったのだ。

 さらに、本大会直前にオーバーエイジ組を加えて準備試合を戦ったこともチームの一体感を増すために大きな効果があった。「最後のスペイン戦以外は強い相手と対戦できなかった」という批判もあったが、相手はともかくオーバーエイジ組を含めたメンバーで実戦を戦った経験は貴重なものだった。

 5月下旬以来、ワールドカップ予選を戦うA代表とともに、オリンピックを目指すU―24代表、そして女子代表が数多くの準備試合を行った。新型コロナウイルス感染症の拡大という困難な状況の中でこれだけの数の試合を無事に実施できたことについては、日本サッカー協会の皆さんに心からの敬意を表したい。

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