いよいよ、東京オリンピックが開幕する。開会式に先駆けて、前日7月23日にはサッカー男子日本代表が初戦を戦う。
17日には、大会前最後にして最高のゲームで準備を整えた。メダル候補である強国スペインと強化試合を行い、1-1で引き分けたのだ。
この試合から見えてきたものと、頂点へとたどり着くための道筋を、ヨーロッパ最高位の指導者ライセンスを持ち、チーム・個人のパフォーマンス分析のスペシャリストであるアレックス・ラレア氏に徹底アナライズしてもらった。(通訳/神蔵勇太)
スペインに押し込まれながらもリードして前半を終えた日本代表は、ハーフタイムに7人を交代させた。新たにピッチに送り込まれたある選手に、ラレア氏は驚いたという。
「田中碧選手のパフォーマンスは、かなり突出しているように見えました」(ラレア氏=以下同)
Jリーグでぶっちぎりの強さを見せる川崎フロンターレで若くして主力を張り、大会後のドイツ行きを決めているMFに、強い感銘を受けたのだという。
「スタメンを見る限り、遠藤航選手と板倉滉選手がボランチとして並んだことも含めて、森保一監督は守備の時間が長い試合になると想定していたと思います。そのゲームで、遠藤選手と交代で後半から出てきた田中選手は、興味深い数字を残しました。スタッツを見ると、8回ボールを奪って、11回インターセプトを成功させているんです。一方で板倉選手は、ボール奪取が5回で、インターセプトが7回。数字だけ見ると、田中選手の方がより守備面でチームに貢献できているんです。ゲームの中のインテリジェンスを守備面でも見せたことで、想定とは違う結果を出せたのだと思います」