■驚かされた、もうひとりの「元フロンターレ」の選手

 他にも、後半から入った選手で、ラレア氏が気になった選手がいるという。先制点を挙げた堂安律との交代で入った三好康児だ。

「目を見張ったのが、終盤の三好選手のプレーです。前線でボールを受けると1タッチでボールを動かし、スルーパスで上田綺世選手のシュートを導きました。素晴らしい個人技術で、勝利を決めていたかもしれない場面をつくり出していました」

 五輪本番に臨むにあたり、大事なのは「積み重ねてきたことを、大会を通じて実行すること」であるとラレア氏は語る。酷暑が予想される大会期間中、日本代表は中2日で試合をこなしていく。しかも、そのテンポが準決勝まで続く。つまりは、グループステージ初戦から準決勝まで、中2日の5連戦という過酷な戦いとなるのだ。戦い抜くには、チーム全員で総力戦を挑まなければならない。スタメンを張ることが多かった選手のみならず、全選手の奮闘が必要とされているのだ。

 また、今回のスペイン戦に出場していない選手たちもいる。ラレア氏のお気に入りで、「スペインでも通用する」と高く評価していた三笘薫も、その一人だ。集中開催となったACL出場のためウズベキスタンに遠征し、右太ももに違和感を覚えたため、別メニューでの調整となっていた。

 スペイン代表は、EURO2020に参加していた選手も6人おり、これから調子を上げていく段階だった。一方、日本代表もスペイン戦ですべてを見せたわけではない。

 では、スペインと日本が、東京オリンピック本番で再び顔を合わせるとしたら? ラレア氏には、ベストのメンバーと戦い方が浮かんでいる。

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Alex Larrea
スペイン、サンセバスチャン出身.元スペインサッカー協会会長の父、U-21スペイン代表で現在レアル・ソシエダ育成部長の兄など、エリートぞろいのサッカー一家で育つ。自身もカナダでプロとしてプレーした後、一度は会社員となるも、再び指導者としてサッカーの世界へ。ヨーロッパ最高位の指導資格であるUEFAプロライセンスを取得し、現在は日本でDV7サッカーアカデミーのディレクターコーチを務める。

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