■左利き右利きの不思議
人間には「右利き」と「左利き」があり、それは主に手の話として語られる。基本的に「左右対称」につくられている人間の体。なのに使うのが得意な手とそうでない手があるのはとても不思議だ。脳に左右の別があることが由来だとする説、遺伝説、母親の胎内にいたときの姿勢に由来するという説、さらには生まれてからの習慣によるとする説など、さまざまな説が提唱されているが、まだ定説はないらしい。
もうひとつの不思議は、「右利き」が圧倒的に多いことだ。左利きは全人類の10%しかいないという。英語でright(右、正しい)とleft(左、残されたもの)というような言葉があるように、古くから「右」を神聖とし、「左」を汚れたものとする風習があり、生まれてから左利きを右利きに直された例も少なくない。しかしそれ以前に、人間には左利きの割合は少ないのだという。
よく世間で言う「両利き」は、本来は左利きで、ボールは左で投げるが、箸やペンは右手で使うというような例である。明らかに親のしつけ(あるいは強制)の結果であり、現在では、精神的に悪い影響を与えるということから推奨されていない。
さて、サッカーで重要なのは足である。足にも右利きと左利きがあるのは、誰でも知っている。左利きの名手と言えば、マラドーナであり、メッシであり、日本で言えば名波浩、中村俊輔、本田圭祐、堂安律、久保建英など、「天才」と言われたタイプに多い。こうした選手たちは、ほとんどのプレーを左足でプレーするイメージがある。1974年ワールドカップで世界を震撼させたオランダ代表のMFビム・ファンハネヘンは、「僕の左足は精密機械だが、右足はただの棒」と話していた。