■左足のキックはレーザービーム
ジュビロ磐田の伊藤洋輝が移籍するシュトゥットガルト。同クラブのフロントは、伊藤にふたつのストロングポイントを見出したと考えられる。
ひとつ目は左足のキックだ。ロングレンジでも高い精度のパスを供給できる。それがまた、緩やかな曲線ではなくレーザービームなのである。
ライナー性の高速パスは、サイドチェンジで価値が高い。緩やかな軌道より早く届くため、パスの受け手はマッチアップする相手との距離を確保できる。トラップした瞬間に飛び込まれる、といったことを避けられるのだ。
サイドチェンジだけではなく、攻撃のスイッチを入れる縦パスも鋭い。そのうえで、ストレート系とカーブ系の軌道を操ることができる。
ふたつ目はユーティリティ性だ。
大型ボランチとしてプレーしてきた伊藤は、プロ3年目の20年シーズンにセンターバックへコンバートされた。3バックと4バックで左センターバックを務め、4バックの左サイドバックでもプレーした。
今シーズンも3バックの左CBを定位置としている。ビルドアップの局面では、最終ラインのゲームメーカーとして機能する。188センチのサイズを生かして、地上でも空中でも激しくバトルできる。
スキルと並行して「思考」も磨いてきた。指導者や経験者の声に耳を傾け、プレーに反映していった。磐田でともにプレーするヤットこと遠藤保仁にも刺激を受けてきた。「サッカーを知るとかいうのは、ヤットさんが入ってきてすごく勉強になるところがある」と言う。