■ベンチから飛んだ細かい指示

 後半に入ってもその流れは変わらなかったが、ゴールにより近く迫ったのは浦和だ。50分、トーマス・デンのパスに抜け出した興梠慎三が裏に抜け出して、GKと1対1になる絶好のチャンスを迎えた。興梠は加速を緩めてシュートモーションをじっくり作るほど余裕があったが、これを外してしまう。あまりの好機を逸したことで、流れをも失うかと懸念されたほどだった。

 しかし、61分にリカルド・ロドリゲス監督が打った手が、この試合を決定づけることになる。興梠と武藤の前線の2人を下げて、キャスパー・ユンカーと小泉佳穂を投入したのだ。ここまで公式戦10戦10得点のエースストライカーと、赤い新司令塔がピッチに立つと、ボールの流れがスムーズになり、さらに浦和ペースに試合は進む。そして直後というべき64分、セットプレー崩れから宇賀神友弥がゴールネットを揺らすことに成功したのだ。

 1点をリードしたことで余裕ができた浦和は、主導権を握ったまま試合を進める。81分にまたしてもセットプレー崩れから柴戸海が点数を奪ったのも、当然の成り行きだった。

 61分の“リカルド・マジック”は試合の主導権を握ったが、実際に点数を奪ったのはセットプレー。しかし、そのセットプレーにも秘密があった。ベンチからは、選手交代の際はもちろん、その都度、セットプレーに対して細かい指示が出ていた。

PHOTO GALLERY ■【画像】柏レイソルー浦和レッズの写真全34枚■
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4