■「取材パスはありませんよ」
その前週の10月4日には日本代表がカザフスタンに追い付かれて1対1の引き分けに終わり、その日の夜に加茂周監督が解任されるという事件が起こりました。そうです、僕たちがカザフスタンの美女群団に歓迎された時の話です(第47回「消えた美女群団の謎」の巻)。
日本代表は、カザフスタンから直接移動して、アシスタント・コーチから昇格した岡田武史監督の下でウズベキスタンと戦うことになりました。
僕は、カザフスタン戦の後、キルギスに立ち寄ってからタシケントに入り、代表の練習の取材のためにトラクター(トラクター工場が母体になったチームの名前)のグラウンドに向かいました。
そうしたら、「後藤さんの取材パスはありませんよ」と言われたのです。
事情はこうです。日本代表が海外遠征をする時は、たいてい西鉄旅行という旅行会社が請け負っていました。記者団の取材ビザなども西鉄旅行が担当します。しかし、そうすると高額な手数料を取られてしまうのでで、僕は「ビザは自分で取りますから」と言って協会に取材申請だけしてタシケントにやって来たのです。
そう、ビザをもらいに行った時も面白い話があります。
大使館(といっても、当時のウズベキスタン大使館は高級住宅街にある戸建ての普通の民家でした)で申請書を提出して、来週来るように言われたのです。ところが、翌週行ってみると日本語がうまい係官が「ごめん。まだ、出来ていないんだ。来週来てくれる?」というのです。