■FA杯決勝では知略が裏目に
チェルシーの弱点を挙げるなら、前線からのプレスで形をつくられてビルドアップを封じられると、厳しい状況に追い込まれることだ。
3バックに対して、3トップあるいは1トップ+2シャドーでパスの進路をふさがれてしまうと、チェルシーは後手を踏んでしまう。無論、それは選手起用と配置に依るところでもあるが、そこでトゥヘル監督の中で矛盾が生じてくる。
レスター戦が、良い例だろう。ジェイミー・バ―ディをストップするため、リース・ジェイムズを右センターバックに、セサル・アスピリクエタを右ウィングバックに据えた。普段とは逆の配置で彼らを起用したのだが、それゆえに右サイド後方からのビルドアップがスムーズにいかなかった。試合後、「勝利していれば良い采配だと言われていたはず」と主張していたトゥヘル監督だが、知将と称されるドイツ人指揮官としては珍しい判断ミスだった。