■レアルも行う「先行投資」
同じような考えのもとでR・マドリードに加入したのが、ヴィニシウスとロドリゴだ。
フロレンティーノ・ペレス会長は近年、若手推進プロジェクトを掲げてきた。その筆頭がヴィニシウスとロドリゴである。
R・マドリードは2018年夏にヴィニシウス、2019年夏にロドリゴを、それぞれ移籍金4500万ユーロ(約58億円)で獲得している。ロドリゴは久保と同様に、まずはカスティージャ(Bチーム)登録を念頭に獲得した選手だった。ただし、どちらの選手により期待をかけて獲得したかは、その後の起用法から明らかである。
ヴィニシウスとロドリゴの獲得に際しては、ある人物が暗躍していた。フニ・カラファトという、スペイン生まれブラジル育ちの敏腕スカウトである。2014年にR・マドリードに加わったカラファトは、徐々にスカウティングの能力を発揮するようになり、フロレンティーノ・ペレス会長とホセ・アンヘル・サンチェス・ゼネラルディレクターの信頼を勝ち取った。現在では、国際フットボール部門部長という役割が与えられている。
カラファトが”目利き”であることに、間違いはない。実際、ヴィニシウスとロドリゴはジネディーヌ・ジダン監督の下で居場所を確保している。ただしペレス会長は、最終的にヴィニシウスやロドリゴを売却するというプランも選択肢に入れているだろう。そうなれば、4500万ユーロは先行投資になる。先述したフェリックスのように、若い選手への投資は高い費用対効果が期待できるのだ。