■プレーヤーにとってほんとうに大切なもの

 私たちは、特定の人の「全体像」をつかむのに、当然のように「身長・体重」のデータを探したり言及したりしてしまう。しかしそれは「本質」とはまったく関係のないものだ。プレーヤーの本質は、その技術(ヘディングを含む)や速さ、持久力、判断のスピード、試合を読む目、そして不屈の闘志などにあり、身長が高かろうと低かろうと、体重が軽かろうと重かろうと、あるいはまた、身長の割に体重が多かろうと少なかろうと、極端に言えば体脂肪率が高かろうと低かろうと(この数字に束縛されていた監督もいたが)、もうひとつ言えば、18歳だろうと54歳だろうと、チームが勝つために効果的なプレーをしてくれる選手であれば、そんな数字は枝葉末節にすぎない。

 私は今後、できる限り、安直に身長のデータを使うのを控えようと思う。文章のなかにそうしたデータを入れることで何かを語ったつもりになるのを自戒したいと思う。

 コパの例を挙げて私を励ましてくれたオレギ先生は、その後司祭となり、91歳を間近にしたいまも山口県の教会で信者たちを導き、地域の子どもたちに夢を与えるべく、元気に社会活動にいそしまれている。ちなみに、オレギ先生はとてもボール扱いがうまかったが、同時にとても小柄だった。もしかしたら、サンセバスチャンでサッカーに励んでいた少年時代の先生は、自分自身をコパに重ねていたのかもしれない。

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