■4センチの背伸びで日本代表に
昔から、サッカー選手の「身長」ほどあてにならないものはない。おそらくほとんどは自己申告なのだろう。日本サッカーリーグ時代のあるチームでは、選手たちは毎年平均1センチずつ背が高くなっていた。数年すれば、本人がびっくりするような身長になっていただろう。身長は、サッカー界で最もいいかげんな「データ」なのだ。
高木琢也は日本代表のエースとして1990年代に活躍、1992年のアジアカップでは決勝戦で胸トラップから素晴らしい左足シュートを決めて日本に初優勝をもたらした。大阪商業大学のとき、上田亮三郎監督から「身長は何センチだ?」と聞かれ、「184センチです」と答えた。すると上田監督は「少しインパクトが足りないな。188センチにしろ。そうしたら日本代表になれるかもしれない」と言われ、以後188センチで通しているという
「身長・体重」の測定というと、小学校時代の「身体測定」で懸命に背筋を伸ばしたのを思い出す。童謡「せいくらべ」のように、毎年端午の節句には、家で柱の前に立ち、身長を測ってもらうのが楽しみだったが、それからしばらくすると学校での身体測定である。
この身体測定は「学校保健安全法」という法律で決められたもので、毎年6月30日までに実施しなければならないことになっているらしい。背骨が健康な状態にあるか、視力、聴力、心臓の検査などとともに、身長と体重の測定が必須になっている。これは、企業などの「健康診断」でも同じだ。身長と体重を測るのは、肥満になっているかどうかの指数を得るためで、身長そのもの、体重そのものに意味があるわけではないというところが、他の検査と違う。