森保一監督は、東京オリンピックの組み合わせ抽選会のあと、「目標は1次リーグ突破ではなく金メダル」と語った。A組の日本は、7月22日に南アフリカ、25日にメキシコ、28日にフランスと、いずれも強豪国とグループステージを争う。各組上位2チームが戦う準々決勝に勝てばベスト4で、決勝戦か3位決定戦に進むことができる。各国の準備状況はまだ聞こえてこないが、大会は刻々と近づいている。本稿では、日本代表はどのように戦えば金メダルを獲得することができるのかを考えた。
■初戦(南アフリカ)での勝利が必須
もちろん、ホンジュラスやルーマニアなら確実に勝てるというわけではないし、メキシコやフランスには歯が立たないわけではないが、やはり難しい相手が入ってきたことは間違いない。
フランスは最近のオリンピックでは実績がないが(だからポット4に入っていた)、育成には定評がある国だ。現在24歳の選手は4年前に韓国で開催されたUー20ワールドカップに出場していた年代ということになる。韓国での大会ではイングランドが優勝し、フランスはラウンド16敗れてしまった。だが、これはイタリアの試合運びのうまさにしてやられた結果であり、当時のフランスはリリアン・テュラムの息子のマルクス・テュラム(現メンヘングラードバッハ)やジャン=ケビン・オーギュスタン(現ナント)など、フィジカル・モンスター的な選手を何人も擁する、おそらく参加24か国の中でも最強クラスのチームで「優勝候補」と言われるチームだった。
また、メキシコは2012年のロンドン・オリンピックで金メダルを獲得するという成功体験を持っているだけに、東京オリンピックでも本気で勝ちに来るだろう。しかも、選手のほとんどが国内クラブに所属しているので、ベストメンバーをそろえることが容易なのだ。
日本としては初戦(南アフリカ)戦が重要になる。「初戦が大事」とはいつの大会でも言われる常套句のようなものだが、難敵との対戦が控えているだけに今大会では初戦での勝利は必須ともいえる。もちろん、初戦に敗れてもあとの2試合の結果で2位以内に入ることは不可能ではないが、そのためには後の2試合を全力で戦わざるを得なくなるので、準々決勝でベストの戦いができなくなってしまう。