■ダミアンと長谷川の熱い抱擁
しかし、ガンバも必死だ。ここまで攻撃力こそ鳴りを潜めているものの守備は安定しており、この場面でも16番にシュートを撃たせない。ボールをなんとかかきだしたものの、そこで待ち受けていたのがダミアンだった。元セレソンの足元に引き寄せられるかのようにボールが転がると、あとは蹴り込むだけ。再三の好セーブを見せていたGK東口の伸ばした手も及ばず、ダミアンが歓喜の雄たけびを上げたのだ。
笑顔で喜ぶダミアンは直後、長谷川に走り寄る。長谷川の“アシスト”に対して感謝を表して、この小柄なドリブラーを持ち上げ、抱きしめ、肩を組んだ。得点をもたらしてくれたとはいえ、大仰なリアクションだった。
そもそもこの試合では、ダミアンはいつも以上に多くの声を出していた。ピッチ上で細かく指示を出し、味方のポジショニングについて修正を促した。特に「アキ!」と家長に何度も声を掛けていたのが印象的だ。そして自身はいつも通り相手守備陣にプレスをかけ続けた。この試合でキャプテンマークを巻いたダミアンは、間違いなくピッチ上の“指揮官”だった。
そんなダミアンが感謝を表した長谷川は久々の先発出場で、まとまった時間の出場そのものが久しぶりだった。首位攻防の名古屋戦では、初戦でベンチ外、第2戦でベンチ入りしながら出場機会はなしと、厳しい立場にあった。その長谷川は、試合前のウォーミングアップでチームの先頭を走るなど気合十分だった。ダミアンはキャプテンとして、そんな姿を見ていたのかもしれない。