5月4日、中4日での連戦となった“首位決戦”セカンドレグ。名古屋グランパスはしっかりと修正を施して、アグレッシブな戦い方で川崎フロンターレに迫った。相手の出方を見た川崎は、激しい中盤のプレスをいなしながら、決定的なリードを作り出す。それでも名古屋は鬼神のような攻撃で川崎を追い込んだ。サッカーの醍醐味が詰まったようなこの一戦を、サッカージャーナリスト・後藤健生はどう見たのか。
■川崎は“並び”も“スタメン”も変えてこなかった
一方、“ファーストレグ”を4対0と完勝した川崎としては、もちろん何も変える必要はなかった。豊田スタジアムでの試合とまったく同じスターティング・メンバーで、並びもいつもの通りの4−3−3だった。
たしかに、川崎としては積極的に何かを変える必要はなかった。しかし、相手の名古屋のプレーは“ファーストレグ”とは明らかに違っていたのだから、豊田での試合と同じ展開になるはずはなかった。相手は、中盤から激しくプレッシングをかけてきたのだ。
すると、川崎の選手たちはすぐにそのことを感じ取った。そして、すぐにそれに対応して戦い方を変えたのだ。“ファーストレグ”では相手が中途半端に引いており、アグレッシブさが見られなかったので、川崎の選手たちは早めに速くて強いパスを相手ゴール前に供給し続けて名古屋をゴール前に押し込んだ。そして、3分に旗手怜央が先制ゴールを決めると、そこで攻撃のテンポを落とすことなく、さらに畳みかけて10分に2点目。そして、23分にもCKからの追加点によって勝敗の行方を決めてしまった。
だが、等々力での“セカンドレグ”では相手はかなりアグレッシブな守備を仕掛けてきたのだ。
そうなると、豊田での試合のように相手ゴール前にパスを入れるだけでは跳ね返されてしまう可能性が高くなる。いや、相手ゴール前、つまりピッチの中央に強引なパスを入れた瞬間にパスをカットされるとカウンター攻撃を受ける危険もあるだろう……。