■互いに見せた弱み

 一方のG大阪は、「個」の強さを打ち出している。4バックの中央に陣取るのは、昌子源三浦弦太という日本代表クラスのCBだ。ワールドカップも経験し、屈強な選手が多いフランスでも戦ってきた昌子は、地上でも空中でも対人の強さで圧倒する。同じく空中戦に強い三浦はカバーリングに優れ、昌子との相性は非常に良い。

 ただし、個での対応が原因で後手に回ることもある。前節の名古屋グランパス戦が、その好例だ。

 名古屋戦では、U-24日本代表の相馬勇紀の1ゴール1アシストの活躍にやられた。相馬と相対する、G大阪の右サイドから崩されたのだ。

 1失点目の場面で、右サイドバックに入った小野瀬康介は、抜け出そうとする相馬を捕まえ切れないだけではなく、その後の対応も判断がはっきりしなかった。その結果として三浦が釣り出され、空いたスペースに入った山崎凌吾へのアシストを許した。2失点目も、良い位置を取れなかった小野瀬の裏を突かれて、相馬のゴールを許した。

 本来、小野瀬は攻撃面に特長のあるアタッカーである。昨季もウィングバックで起用されてはいたが、現在のG大阪はその良さを活用できる状況にはない。途中交代させられた小野瀬だが、不慣れな環境での仕事は気の毒だったと言わざるを得ない。毎試合メンバーが変わるG大阪にとって、適切な人材配置は大きな鍵になるだろう。

 一方のC大阪も、第9節のアビスパ福岡戦でもろさを見せた。ゴール前で数的優位を崩さぬようにプレーしている間はいいのだが、強烈な「個」をぶつけられると弱いのだ。

 相手に退場者が出て楽に試合を進めていたC大阪だが、カウンターからの抜け出しを止められずに献上したCKから先制を許した。直後に追いつき、さらに逆転したものの、身長188センチのフアンマ・デルガドに残り2分で同点ヘッドを決められた。

 この組織と個の長所と短所は、攻撃面にもつながっていく。

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